機動戦士ガンダム 第08MS小隊

 実は私、08小隊は小説版だけで、OVAは殆ど見たことがありませんでした。そこで、市川さんの追悼とばかりにこの機に一晩かけて一気に見てみました。
先に余談ですが小説版の08小隊は、ガンダムスカイよろしく、下半身がコアブースターのEz-8が登場したり、キキがジオン軍に輪姦されたあげくに舌噛み切って自殺する、といった具合に色々エキセントリックな内容でした。私が初めて読んだラノベであり、小学6年の時分のことでした…いまだにキキの笑顔の前でうなだれるシローの挿絵が忘れられません。
 さて、OVAの話ですが、まぁまずはノリス。もうあのオッサンのカッコ良さは異常だわ、と。この声が二度と聞けないのかと思うと、唐突に悲しみが現実味を持って迫ってきましたね…全キャラ中、最初から最後までもっとも揺ぎ無い筋の通った描かれ方をされてて良かったと思います。
 対照的なのがシローですかね。というか基本的にキャラの掘り下げが浅いと思うんだこのアニメ…
当初はコロニーへの毒ガス攻撃が元でジオンに恨みがあるらしいのは分かるんだけど、雪山での一件以降なんで唐突に種みたいな不殺の発想に至るのかさっぱり分からない。
そもそも、なんでアイナに惹かれたのかすら定かじゃないし。あれではどう見てもただの一目惚れとしか取れないと思うんですが…同じことはアイナにも言えますけどね。
ただ「震える山」で一度ノリスにEz-8が行動不能にされた時の、「一思いに殺せーっ!」は場面として好きです。「俺はただ生きたかっただけだ」〜「生きてアイナと添い遂げる」と、時分の欲望(本性)に目覚めるところは見ごたえがありました。
でもやっぱりそれと「ジオンにもいい人はいます」だの「部下のためなら戦える」だのといった葛藤とは別問題だと思います、個人的には。
 そういった人物描写の不十分さと反対に、メカなど戦争部分の泥臭い描写は良かったですね。砂が詰まって止まる陸戦とかね。何よりグフ。よく動く上に重量感も出てて非常に見ごたえがありました。特に高速道路走ってるシーンとか。
 全体的にはガンダムとして十分楽しめる作品だったと思います。ただラストリゾートはやはり蛇足かと…最初何の(別の)アニメ始まったのかと思ったぞアレ・・・